単語はいくつか聞こえた。それなのに「何の話だった?」と聞かれると答えられない。この場合、耳が音をまったく認識できていないわけではありません。聞こえた語を、文の意味として保つところで負荷が高くなっています。
単語が聞こえても意味が残らない三つの原因
一つ目は、聞こえた語をその場で一語ずつ日本語へ訳していることです。一語の訳を考えている間にも次の英語は進むため、前後の関係を失いやすくなります。
二つ目は、すべての語を同じ重要度で覚えようとすることです。文には、誰が何をしたかを決める中心と、時・場所・程度などを加える部分があります。
三つ目は、文字での理解にも時間がかかることです。語順や基本文法を何度も読み返す文は、音声になるとさらに負荷が上がります。
音の練習前に文字で確認する
音声と同じ短い英文を読み、次の問いに答えます。
- 誰または何についての文か
- 何をした、どんな状態だと言っているか
- 時・場所・理由など、追加情報は何か
文字でも答えにくいなら、先に単語や文法を確認します。文字では答えられるなら、意味の骨組みを音声でも残す練習へ進みます。
意味のまとまりを三つまでにする
一文を、次のようなまとまりで見ます。
- 主役: 誰・何についてか
- 中心: 何をする・どんな状態か
- 補足: いつ・どこで・なぜ・どのように
文法用語を正確に付けることが目的ではありません。聞き終えたときに、中心を失わないための目印です。最初は主役と中心だけで構いません。
一文を聞いて一文で言い直す
意味と原文を確認できる短い学習用音声を使います。
- 英文を読み、主役・中心・補足へ線を引く。
- 音声を聞き、強く聞こえる語を手掛かりにする。
- 聞き終えたら、原文を見ずに要点を日本語で一文にする。
- 原文を見て、中心が合っていたかだけ確認する。
- もう一度聞き、今度は語順の流れを意識する。
逐語訳と同じ日本語にする必要はありません。「誰が何をしたか」が合っていれば最初の成功です。慣れたら、やさしい英語で言い直しても構いません。
強く聞こえる語を手掛かりにする
英語では、名詞、主要な動詞、形容詞など情報を担う語が強くなる傾向があります。一方、短い文法語は弱く短くなることがあります。聞こえた強い語だけで全文を推測するのではなく、意味の骨組みを探す手掛かりにします。
強弱の基本は英語の強勢とリズムで確認できます。音の境目自体が分からないなら、この練習の前に知っている英単語が聞き取れない理由へ戻ります。
一文の中心が残れば終わり
最初から細部まで覚えようとしないでください。一文を聞き、「誰が何をしたか」を一つ言えたら、その回は終えて構いません。
リスニングで意味を取るとは、聞こえた語を全部保存することではありません。重要な関係を選び、次の文が来ても残せる形にすることです。
短い英文を意味のまとまりで受け取り、聞いた内容を一文で言い直せる