シャドーイング(shadowing)は、影(shadow)のように音声の少しあとを追って声に出す練習として知られています。初心者が、意味の分からない速い音声にいきなり重なると、音を追うだけで終わりやすくなります。ナギの言い方を借りれば、「文字なら分かるのに、音だと切れ目がない」状態のまま声を重ねることになります。
このページでは、文字と意味を確認する段階を含めて進めます。最初の到達点は、文字なしで完璧に追うことではなく、意味を保った一文を、文字を見ながら音声へ重ねられることです。
始める前の三条件
- 短く、繰り返し再生できる学習用音声である
- 正しい英文と意味を確認できる
- 文字を見れば、一文を同じ区切りで読める
一つでも満たさなければ、教材をやさしくするか、先に音読までを行います。その場で進む会話や、原文のない音声へ無理に使う方法ではありません。
初心者向けの5段階
1. 意味を確認する
英文を読み、誰が何をしたかを一文で言います。重要語と文法が分からないまま、音だけをまねません。
2. 音と区切りを確認する
聞く前に、一つだけ予想します。この一文で、いちばん強く聞こえる語はどれか。予想してから音声を聞くと、当たっても外れても、その語の位置が耳に残ります。ピンが尾の灯りで示すのは、確かめる一音だけです。
音声を聞き、強く聞こえる語、つながる境目、短くなる語に印を付けます。全部を分析せず、一つか二つに絞ります。
3. 音声なしで音読する
意味のまとまりで区切り、ゆっくり読みます。個々の発音より、文の中心と呼吸を保つことを優先します。
4. 文字を見て音声へ重ねる
英文を見ながら、音声と同時に一度読みます。速さについていけなければ、より短い文またはやさしい教材へ戻ります。速度変更が使える教材なら一時的な確認に使えますが、最後に元の音も聞きます。
5. 少し遅れて追う
意味を思い浮かべたまま、音声の少しあとを追います。文字を見て構いません。余裕がある場合だけ、最後に文字を閉じて一度確認します。
つまずいた場所へ戻る
| 起きたこと | 戻る場所 |
|---|---|
| 意味を思い出せない | 段階1の意味確認 |
| 音の境目が分からない | 段階2、またはリンキング |
| 短い語で崩れる | 弱形 |
| 文字を見ても追えない | 段階3、または教材変更 |
| 声を出すと痛い | その場で中止する |
遅れた回数を失敗として数えません。戻る場所が分かることが、段階を分ける利点です。
一文で終える練習
最初は一文だけで構いません。
- 大意を言う。
- 強い語を二つ囲む。
- 音声なしで一度読む。
- 文字を見ながら音声へ一度重ねる。
- 内容をもう一度言う。
最後に意味が残っていれば終了です。速さだけを再現して内容が消えた場合は、一段戻ります。記録するのは、戻った段階の番号と、聞き直した一音の位置の二つだけで十分です。次の回は、その位置から始められます。
万能な練習にしない
シャドーイングは、すべての聞き取り問題を一つで解決する方法ではありません。単語を知らなければ語彙確認、音の位置を特定したければディクテーション、教材自体が難しければ教材の選び方が先です。
目的に合う日に、一〜三文だけ使いましょう。声が追いついたかより、音と意味が同じ一文に残ったかを成功の基準にします。
意味と音を確認済みの一文を、文字を見ながら音声へ重ねて読める